6 カウンタ回路


フリップフロップを用いてカウンタを作ることができる。 2進カウンタの例を下図に示す。
2進カウンタ

ここで各LEDは入力パルスの2進表示に対応して点灯する。 同様に10進カウンタの例を下図に示す。
10進カウンタ
また、ここでリセットパルスを6で出すようにすれば12進カウンタになる(表示方式は変更が必要)。

実際には、トランジスタやフリップフロップICを用いてカウンタを作る必要はなく、専用のICを用いれば良い。 TTLでは7490(10進)、7492(12進)、7493(16進)などの他、多くのカウンタICがあり、プリセット、カウントダウン、ラッチ、7セグメントデコーダ、ドライバなどの機能を併せ持つものもある。

参考/ 時計(デジタル時計)

時計はカウンタの応用例として最も代表的なものであり、さらに基礎的なデジタル技術の全て(オシレータ、ワンショット、フリップフロップ、BCD→7セグメントデコーダ、ドライバ、など)を内包する点で、デジタル回路の入門例として最も一般的なものである。

これも、実際には時計用のLSIが各社から発売されているが、ここでは動作原理を確認するために基本的なICを用いて構成するものとする。 最初に時計の回路概要を下図に示す。
時計の回路概要

時計の原理は、まず発振回路(一般に水晶発振)で数MHz〜数KHzのパルスを発生させ、次に分周回路でこれを1Hz(1秒)のパルスとし、以下カウンタ回路でこれをカウントして順次、分、時を求め表示回路でこれを表示するものである。
また、設定回路は、手動によりパルスを発生させるもので、これをカウンタ回路へ送ることにより時間合わせを行う。

@発振回路

ここでは論理ゲート(NOT)を用いた無安定マルチで水晶発振子を励振し1MHzの精度の良いパルスを発生する回路を示す。
発振回路
ここに論理ゲートには、7404(NOT)または7400(NAND)などを用いる。

A分周(周波数を1/Nにする)回路

10進カウンタを用いて入力パルスを1/10づつ分周し1MHzから1Hzのパルスを作る回路を下図に示す。
分周回路

ここで用いる10進カウンタの例として7490を示す。
7490

7490は内部に2進カウンタと5進カウンタを持ち、これを直列に接続することにより10進カウンタとして機能する。 10進カウンタには多くの種類があり、実際に用いる場合には高機能なものを選ぶ方が良い。

Bカウンタ回路

10進カウンタとデコーダを組み合わせて60進および24進カンウタを作り、1Hz(1秒)のパルスから分および時を求める回路を下図に示す。
時分秒のカウンタ

ここで、秒および分のカウンタ部分は12進カウンタ(7492)を用いて下図にようにもできる。
分秒のカウンタ
ここに7492は、7490と同様に内部に2進カウンタと6進カウンタを持つ。

C表示回路

カウンタ回路のBCD出力を7セグメントLEDに表示する回路を下図に示す。
時分秒の表示回路
ここに、時、分、秒を区切るコロンは1秒間隔で点滅する。

D設定回路

手動による時分合わせ、およびリセットのためのパルスを発生する回路を下図に示す。
時分合わせ、リセット

時および分合わせでは、チャタリング防止のためワンショット回路が必要である。 ここではワンショット回路を2回路持つ74221を示す。
74224

以上@〜Dの回路を組み合わせることにより時計を作ることができる。 これらの部品表を下表に示す。 ただし実際にはより高機能なICを用いることにより部品数を減らすことができる。

回路名 部品名 仕様、型番など 数量 備考
発振回路 水晶発振子 1MHz 1
IC NOT/ 74(LS)04 1 1/6×3
抵抗 560Ω 1
220Ω 1
コンデンサ 0.05μF 1
10pF 1 セラミック
20pFトリマ 1
ICソケット 14ピン 1
分周回路 IC 10進カウンタ/ 74(LS)90 6
ICソケット 14ピン 6
カウンタ回路 IC 10進カウンタ/ 74(LS)90 6 2個は12進/ 74(LS)92でも可
OR/ 74(LS)32 2 1/4×5
AND/ 74(LS)08 1 1/4×3
ICソケット 14ピン 9
表示回路 IC 7セグメントLEDデコーダドライバ/ 74(LS)47 6
LED 7セグメントアノードコモン/ T313 6
4
抵抗 330Ω 46 または330Ω×8集合抵抗×6
トランジスタ 2SC1815 4
ICソケット 16ピン 6
設定回路 IC ワンショット/ 74(LS)221 1
抵抗 33KΩ 2
10KΩ 3
コンデンサ 10μF 2 タンタルまたは電解型を無極にしたもの(5μF×4)
プッシュスイッチ 復帰型 3
ICソケット 16ピン 1
共通 基板 200×150程度 1 @AとBCDは分離する方が良く、その場合は150×100程度×2
スペーサ ボルトナット3Φ×20L 4 〃、×8
コネクタ 2p 1 〃、×2


参考/ 周波数カウンタ

周波数カウンタの回路概要を下図に示す。
周波数カウンタの回路概要

周波数回路の原理は、発振回路および分周回路で1KHz〜1Hzのパルスを発生し、これをゲート信号としてこの時間内に信号増幅回路で増幅整形した測定信号のパルス数をカウントおよび表示するものである。

@発振回路

時計で用いた発振回路を流用する。

A分周回路

時計で用いた分周回路から1Hzの他に10Hz、100Hz、1KHzのパルスも取り出せるようにしたもの。
分周回路

高周波の測定信号ではゲート信号を短くする。 一般にTTLの作動限界は10MHz程度なので、カウンタの表示を4桁(=9999)とするとゲート信号は10MHz/9999=約1KHzまでで十分である。 また、1Hzのパルスはゲート信号だけでなく表示のラッチ(後述)にも用いる。

Bカウンタ回路

ゲート信号とラッチ信号により測定信号をカウントしその結果を表示回路に出力する。
カウンタ回路

ラッチとはデータを一時保持する機能でここでは4ビットラッチIC7475を示す。
7475

また、タイミング回路はカウンタのリセットおよびラッチのイネープル(ホールド/パス)を制御する。 タイミングチャートを下図に示す。
タイミングチャート

タイミングチャートに基づくタイミング回路を示す。(破線の波形)
タイミング回路

また、桁あふれ時の信号発生回路は、、例えば7473のラッチ機能を用いる。
7473

C表示回路

カウントを4桁の7セグメントLEDで表示する。
表示回路

D信号増幅回路

測定信号をTTLレベルまで増幅すると共に波形をパルス状に整形する。 回路その他の説明はここでは省略する。 詳しくは、文献(はじめて学ぶ手ほどきデジタル回路P215/技術評論社)を参照のこと。

以上@〜Dの回路を組み合わせることにより、周波数カウンタを作ることができる。 部品表を下表に示す。

回路名 部品名 仕様、型番など 数量 備考
カウンタ回路 IC 10進カウンタ/ 74(LS)90 4
4ビットラッチ/ 74(LS)75 5
AND/ 74(LS)08 1 1/4×3
NOT/ 74(LS)04 1 1/6×3
FFおよびラッチ/ 74(LS)73 2 1/2×3
ICソケット 18ピン 5
14ピン 8
切り換えスイッチ 4ビットディップスイッチ 1
表示回路 IC 7セグメントLEDデコーダドライバ/ 74(LS)47 4
LED 7セグメントアノードコモン/ T313 4
1
抵抗 330Ω 29 または330Ω×8集合抵抗×4
トランジスタ 2SC1815 1
ICソケット 16ピン 4


目次