日本空気清浄協会、2003年学術講演会、第21回空気清浄とコンタミネーションコントロール研究大会
B-31 屋外設置ユニット式バイオハザード対策用実験室空調の運転経過
Time course study of HVAC performance in an unit typed Biological Safety Laboratory


○篠原克明、高橋栄治、高木弘隆、杉山和良(国立感染症研究所)*1
三木秀樹(須賀工業(株))*2、青山隆芳((株)青木建設)*3


英文概要


キーワード
感染(infection),バイオハザード(biohazard),計画、設計(planning,design)、運転(operation)


概要

本施設は、屋外設置型のP3レベルのバイオハザード対策用実験施設である。 可搬性があるため、設置、移動、撤去が容易におこなえる。
昭和63年に完成し、メンテナンス時を除き24時間運転で、現在までに14年が経過した。 この間、エイズ、プリオン、結核等の実験に供された。
本報では、本施設の概要と運転データの一部を報告する。
Fig.1 外観

本体仕様

構造体には船舶用コンテナを利用している。 コンテナは2台使用し、1台を実験室および前室とし、他の1台を機械室としている。
製作は工場でおこない、現地搬入の後、接続及びユーティリティ供給をおこなう。 現地の工事を最小限にすることで、高品質、短工期を実現している。
Table.1 本体仕様
外形寸法6.3m(全長)×2.4m(全幅)×2.9m(全高)
室有効面積10.8m2(実験室)+2.9m2(前室)
構造対候性高張力鋼+アルミ合金材組立構造
床仕上塩ビシート溶着貼り
壁仕上フッ素樹脂シート貼り
危険度の高い実験室を直接屋外に曝露することのないよう、実験室部分の全周囲に加圧壁を配している。 加圧壁には30mmの中空層を持つアルミ押し出し材を使用し、常時、内部を大気圧以上に加圧している。
また、屋外設置に対する保安対策として、カードによる入退室システムを備えている。
Fig.2 構造

空調仕様

汚染域を最小化するため、実験室および前室の天井直近部に、HEPAフィルター内蔵の吹出口および吸込口を備える。
また、給気側に定風量装置、下流側にモータダンパを設置し、「屋外>前室>実験室」となるよう圧力を調整している。
Table.2 空調仕様
空調方式 全外気方式
熱源方式 空冷パッケージエアコン+電気ヒータ
制御方式 順序+PID
室内条件 実験室 前室 加圧壁
温度 23℃程度 成行 -
湿度 55%RH程度 成行 -
圧力 -60Pa程度 -30Pa程度 50Pa程度
清浄度クラス 8程度 9程度 -
Fig.3 空調システム図

運転データ収集システム

運転データ(実験室温度、同湿度、同圧力、前室圧力、加圧壁圧力)は常時記録している。 記録は、一般的なチャート記録と、パソコンで処理したものとがある。 パソコンで処理したものは、1分のサンプリング間隔で、1時間毎に平均値、最大値、最小値を求めている。 これをメールで配信することにより、関係者は安全なオフサイトで確認ができる。
Fig.4 運転データ配信

運転データの例

例として、2001年の運転データ(最大値〜最小値)を概観すると、実験室湿度を除き、安定していることがわかる。(現在、加湿は停止している。)
メンテナンス時を除き、加圧壁圧力は大気圧以上、実験室圧力は大気圧以下である。 ただし、前室圧力は平均では大気圧以下であるが、まれに大気圧を超える場合もある。 ドア開閉時のオーバシュートによるものであり、発生率は0.5%である。 また温度変動と圧力変動の間には相関が見られる。
Fig.5 運転データの例

まとめ

屋外設置ユニット式バイオハザード対策用実験施設について、概要と運転データの一例を報告した。
屋外設置型であるため、外乱を受け易い条件下ではあるが、長期にわたり安定した運転を実現できている。
可搬性があり、設置、移動、撤去の容易な本施設は、発生場所や時期を予測できない感染症に対する有効な手段と考える。


*1 Katsuaki Shinohara, Eiji Takahashi, Hirotaka Takagi, Kazuyoshi Sugiyama (National Institute of Infectious Diseases, Japan)
*2 Hideki Miki (Suga Co.,Ltd.)
*3 Takayoshi Aoyama (Aoki Co.,Ltd.)