3 パルス回路(マルチバイブレータ)
パルスとは、下図のように電位の高い状態(H)か電位の低い状態(L)かのどちらかの状態しかとらない波形をいう。
デジタル回路では、1または0の情報をこのHまたはLの状態に対応させて表現している。
パルス回路(マルチバイブレータ)とは、こうしたパルスを発生、整形、保持するものである。
| 3.1 | 無安定マルチバイブレータ、パルス発生(オシレータ) |
| 3.2 | 単安定マルチバイブレータ、パルス整形(ワンショット) |
| 3.3 | 双安定マルチバイブレータ、パルス保持(フリップフロップ) |
『無安定』とは、HまたはLのどちらにも安定しない、という意味で、無安定マルチバイブレータとは、このHまたはLの状態を繰り返し発生する回路(発振回路)である。
使いどころは、同期用の信号発生回路である。
トランジスタおよびICを用いた回路を下図に示す。
ここで発生するパルスの周期は以下による。
T=T1+T2≒0.7×(C1×R1+C2×R2)
例えば、C1=C2=150μF、R1=R2=4.7KΩとすると、T=0.987≒1、すなわち周期1秒でHまたはLがそれぞれ0.5秒のパルスとなる。
『単安定』とは、常に一つの状態に安定している、という意味で、単安定マルチバイブレータとは、入力信号があった時、ある一定時間Hの状態になる以外は、通常Lの状態に安定している回路である。
使いどころは、波形整形、チャタリング防止、パルス遅延などである。
トランジスタおよびICを用いた回路を下図に示す。
ここで発生するパルスの周期は以下による。
T≒0.7×C×R
専用ICとして、TTLでは74121、74122、74123などがある。
74121のピン配列と論理表を下図に示す。
『双安定』とは、安定状態がHまたはLの両方にある、という意味で、双安定マルチバイブレータとは、入力信号があるごとに、HまたはLの状態に切り替わる回路である。
使いどころは、カウンタ(情報の記憶)で、例えばこれを4個用いて、0〜9の10進カウンタができる。
(注)FF: フリップフロップ。
トランジスタおよびICを用いた回路を下図に示す。
専用ICとして、TTLでは7470、7472、7473、7474、7476、7478などがある。
7473のピン配列と論理表を下図に示す。