番外編(67)、抱いて集う(20070929)


「大鉄道博覧会〜昭和への旅は列車に乗って〜」に行ったのである。
本当はもっと早く行くつもりだったのに、出遅れて閉会間際の駆け込みになってしまった。 とゆーことは、もうとっくに、アチコチのホームページで報告されているはず。 しかし、貴重なネタをボツにするのは忍びない。
うーむ、どーすりゃ博覧会?(-_-)それ、ムリ。

博覧会の開催場所は江戸東京博物館。建物は両国駅のホームからもすぐ分かる。良く言えば個性的、悪く言えば屋根と柱だけのホッタテ小屋みたいな。(-_-)失礼だ。
写真 江戸東京博物館(2007年9月8日10時30分頃、両国駅にて)

閉会間際で、しかも土曜日、そのせいか、入場券を買うにも人の列。
その入場券だが、特別展、常設展、その両方、の三種類。 特別展は今回の博覧会だが、常設展は江戸と東京の歴史と文化に関する展示。当然、後者が江戸東京博物館の本線で、そちらも、おススメ。
写真 大鉄道博覧会(2007年9月8日10時50分頃、両国駅付近にて)

では入場。入口部には、蒸機の写真と映像。そこを抜けると、この「下工{くだこう}弁慶号」が。
国産のB型サドルタンク機で、製造は1907年(明治40年)、つまり100年前。海軍→下松{くだまつ}工業学校→・・と異動し、現在に至る。
下松と言えば、あの有名な日立製作所の笠戸工場があるところ。しかし、本機は東京石川島造船所の生まれ。蒸機でなかったら、あり得ないネ。
写真 下工弁慶号(2007年9月8日12時頃、大鉄道博覧会にて)

その横には、この「くろひめ号」が。
国産のB型サイドタンク機で、製造は1956年(昭和31年)、つまり約50年前。東洋活性白土→糸魚川市立糸魚川小学校と異動し、現在に至る。
国産蒸機としては、最後の世代であるらしい。「くろひめ号」と「下工弁慶号」とで、蒸機今昔という狙いがあるのかも。しかし、50年と100年の違いと言っても、50歩と100歩の違いぐらいしか感じられない。蒸機って、大らかだ。
ちなみに、製造年がワタシと一緒、親近感を覚えずにはいられない。
写真 くろひめ号(2007年9月8日11時50分頃、大鉄道博覧会にて)

蒸機の向こう側には、通路に沿って、車両模型がズラリと並ぶ。
中でも、0系新幹線、151系こだま型特急、EF58+20系寝台特急などのスター列車が揃ったここは、ベストポジションかと。どれも豪華長大編成。立ち止まる人も多く、写真を撮る隙間がなかなか出来ない。
写真 車両模型(2007年9月8日12時頃、大鉄道博覧会にて)

その他の車両模型で特に目がとまったのは、この阪神電鉄3011型。
ワタシは、1961年(昭和36年)までの数年間、阪神電鉄の鳴尾駅辺りに住んでいたので、たまに両親に連れられて梅田にお出かけした際などに、これを見かけた記憶がある。他の車両とは色も形も違っていたので、特に印象に残っている。
以来40年以上、実物も写真も見る機会がなかったのに、こんなところで再び出会えるとは。ただし、ワタシの記憶は、もはや煤{すす}けているのか、模型は実物より数段キレイに見える。
写真 阪神電鉄3011形の模型(2007年9月8日12時頃、大鉄道博覧会にて)

あと、会場をウロウロしていたら、奥まったところに、星晃氏の紹介が。氏は、戦後の国鉄にあって、151系を初めとする新世代車両の設計をリードされた方であるらしい。
同じ技術屋でも、ワタシとは天と地ほどの違いがあるので、本来は畏{おそ}れ多い方であるワケだが、その設計哲学の中で、「鉄道趣味を活かす」と強調されているところに、何か惹かれるものを感じてしまう。 たしかに、仕事は仕事、趣味は趣味、が原則ではあるが、それが全て、でもないような気がするのである。
写真 星晃氏の車両設計哲学(2007年9月8日12時頃、大鉄道博覧会にて)

そして、隣の部屋には、ジオラマと鉄道絵画が。 先の車両模型も含め、いずれも、極めて手間がかけられたものに違いなく、趣味の世界の奥深さがヒシヒシと伝わってくるのである。
一方で、名人でなくとも、それなりに楽しめるのが、また趣味の世界。 彼我{ひが}の差は励みにして、楽しく続けていけば、それが一番なのではありますまいか。
写真 鉄道ジオラマ(2007年9月8日11時50分頃、大鉄道博覧会にて)

それでは撤収。
江戸東京博物館から駅方向に歩くと国技館が隣に見える。ここで翌日からは大相撲九月場所。青空に、はためく幟{のぼり}が美しい。いかにも両国らしい風情。
写真 国技館(2007年9月8日12時50分頃、両国駅付近にて)

両国駅に戻ると、千葉方面への普通列車、じゃなくて、新聞運搬用の荷物列車が停車中。ブラインドが降ろされていて中は良く見えないが、ボックスシートの車両がそのまま使われている様子。8両(?)編成とは、ずいぶん立派な荷物列車ではある。
荷物列車が停車中のホームは、今ではこの列車専用であるらしいが、かつては房総方面への起点であったもの。ここにも昭和の名残がありました。
写真 クハ111-1145号車千葉行き荷物列車(2007年9月8日13時頃、両国駅にて)

【初利用駅】なし
【初乗り】なし
【完乗】なし


追記

「くろひめ号」を作ったのは福島県にある「協三工業」という会社。
調べてみると、この会社は今でも蒸機を作れるらしく、何と、東京ディズニーランド、ウェスタンリバー鉄道の蒸機もこの会社が作っていたりするのだった。
写真 ウェスタンリバー鉄道のコロラド号(2007年8月26日、東京ディズニーランドにて)


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