特別編(1)、揺れにぞ揺れし(20110402)


あの時、ワタシは休暇を取り、柏にある病院で大腸がん検査を受けていた。
ポリープが二個見つかり、すぐに一個目を切除、止血したところで揺れた。
揺れは最初それほどでもなかったが、だんだん激しくなって、お医者さんや看護婦さんが騒然となった。
検査は一時中止されたが、揺れが治まるのを待って再開、二個目を切除して終了した。
着替えて待合に出ると、テレビが津波の恐ろしい映像を伝えていた。
家族や会社のことが気になったが、当然ながら電話は通じず、ともかくウチに帰ろうと思ったが、検査後1時間は安静にと言われ、じりじりしながら時間が過ぎるのを待った。
やっと病院を出られたのは16時半頃。
来る時に乗ったTX(つくばエクスプレス)は止まっていたが、柏行きのバスに乗れた。
写真 国立がんセンター東病院(2011年3月11日16時30分頃、柏市街にて)

柏駅に着くと、人が大勢居た。
JR常磐線と東武野田線がともに、止まってしまったためだ。
駅では改札口が閉められ、運行再開の見込みがないことがアナウンスされていた。
ワタシも、いつも通りに会社に行っていれば、おそらくは帰宅難民となっていただろう。
写真 閉鎖中のJR柏駅と東武柏駅(2011年3月11日17時10分頃、柏市街にて)

柏駅からウチまでは歩くことにした。約1時間で歩ける。
柏神社の横を通ると、鳥居が壊れていた。
1月には初詣に行き、2月にもお参りをしたばかり。
まさか、こんなことになるとは、と驚く。
写真 損壊した柏神社の鳥居(2011年3月11日17時10分頃、柏市街にて)

お店はすでに閉店しているところが多かった。
さもありなん。従業員を帰さないわけにはいかないから。
たとえ電気やガスが止まらなくても、人が居なければ街は機能しなくなる。
写真 閉店中の店舗(2011年3月11日17時10分頃、柏市街にて)

営業中のコンビニを見つけたので、パンとコーラを買った。
よく考えると、検査のため朝から何も食べていなかった。
店を出た時にふと違和感を覚えた。
公衆電話に行列とは!、最後に見たのはいつだろう。
写真 営業中のコンビニと公衆電話の行列(2011年3月11日17時10分頃、柏市街にて)

外壁の仕上げが落ちてしまったビルがあった。
道路沿いなので、片側通行の制限がなされていた。
もし、もう少し激しく壊れていたら、道路は通行止め、車は渋滞、ということになる。
写真 外壁の仕上げが落下したビル(2011年3月11日17時30分頃、柏市街にて)

大いに心配しつつウチに戻ったが、幸いにも家は無事、家族も無事だった。
柏の震度は5強。これが6や7だったら、どうなっていたのだろう。
あらためて、地震の怖さを思った。


追記

東日本大震災を境に、それ以前とそれ以後は別の世界になってしまいました。
被災状況があまりにも苛烈で、今は申し上げるべき言葉も思い付きません。


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