番外編(70-2)、四度目の正直−その弐(20071021)


ハノイ駅に行った翌日は、世界遺産にも指定されている超有名観光地、ハロン湾に。
ハノイからハロン湾方面へは鉄道があるのだが、今回は10人ほどの団体行動なので車。
なので、鉄分は期待していなかったが、結論から言うと、道路と鉄道は、ところどころで並行していて、意外と楽しめたのだった。
図 ハノイ〜ハロン付近鉄道路線図

ハロン湾はハノイから見て東の方向。ハノイのすぐ東側にはホン(紅)河が流れているので、車はまずホン河を渡ることになる。
道路橋のチュオンドゥオン橋を走ると、北側に、かのロンビエン橋が見える。 ロンビエン橋は本来トラス橋のはずだが、一部はトラスではなくガーダーである。ベトナム戦争時に爆撃され修理された名残りらしく、この橋が歴史の生き証人と言われるのも頷{うなづ}ける。
写真 ロンビエン橋(2007年9月30日7時30分頃、チュオンドゥオン橋にて)

間もなく、車は線路をくぐり、すぐに右折して、この線路に沿って走る。車は右側通行、しかもワタシの席は右側なので、線路は間近に見える。
地図を見ると、この線路は、ロンビエン駅の一つ先、ザーラム駅から分岐して港町ハイフォンに向かうハイフォン線。ハイフォンはハロン湾の南側になる。
写真 ベトナム国鉄ハイフォン線の線路(2007年9月30日7時40分頃、ザーラム駅〜カウバイ駅間にて)

道路は片側2車線と立派で、車もトラックやバスを含んで多いが、線路は単線で、列車は通る気配もない。明らかに、鉄道は道路より頼りにされていない感じである。
写真 ベトナム国鉄ハイフォン線の線路(2007年9月30日7時50分頃、ザーラム駅〜カウバイ駅間にて)

線路が複線になったら駅である。看板にはカウバイ駅とある。こじんまりとした平屋の駅舎は、いわゆるフツーの駅という風情。駅舎の色は薄い黄色で、ハノイ駅とも同じ。もしかすると標準色なのかも。
写真 ベトナム国鉄ハイフォン線の駅舎(2007年9月30日7時50分頃、カウバイ駅にて)

やがて、車は左折し、ハイフォン線とは、お別れ。
線路に沿って30分以上は走っていたが、途中、留置された無蓋貨車を数両見ただけで、ついに列車を見ることはなかった。考えてみれば、ベトナムで一番の幹線、統一線でさえ、1日5往復なのだ。列車が走っている方が不思議なのである。

ハイフォン線と別れて数時間後、再び線路に沿って走る。今度の線路はハロンに向かうハロン線か、その支線。
当然、列車なんて通らないよなぁ、と思いながらも、注意だけはしていたら、何と、後方に列車らしきものがチラリと見えた。これは一大事!あわてて、運転手さんにオネガイして車を停めてもらい、車外で待ち受ける。
写真 ベトナム国鉄ハロン線の機関車+客車6両(2007年9月30日10時10分頃、ケプ駅〜ハロン駅間にて)

これは初めて見る機関車、D14E型とある。運転台は片側で、この向きだと、ほとんど前が見えないのではないかしらん。後方の客車と比べると車体はかなり背が高い。正面のDSVNはドゥオン(道)サット(鉄)ビェットナム、つまりベトナム国鉄の意味。
写真 ベトナム国鉄ハロン線のD14E-2011号機(2007年9月30日10時10分頃、ケプ駅〜ハロン駅間にて)

客車は6両。塗色はお馴染みの、緑の地に黄の帯。しかし、オープンデッキ付きは初めてだ。デッキにも荷物が置いてある。デッキに座っているのは車掌さんかと。
写真 ベトナム国鉄ハロン線の客車(2007年9月30日10時10分頃、ケプ駅〜ハロン駅間にて)

最後尾は荷物車。大きな扉が片側に二つ、高さは車体一杯、上には短いながらも庇{ひさし}付き。例によってアケッパで、中には人の姿も。
写真 ベトナム国鉄ハロン線の機関車+客車6両(2007年9月30日10時10分頃、ケプ駅〜ハロン駅間にて)

いやー、ラッキーです。ホント、あり得ないです。
車に戻ると、同乗者の皆さんは、なぜ車を停めたのか分かっていない様子。 どう説明したものかと思ったが、素直に「じつは鉄ちゃんなので」と言ったら、「あー、アレか、アレね」と妙にあっさり納得してくれた。どのように納得されたのかが、イマイチ不安ではあるが。

ハノイを出て3時間、約150km、ようやくハロン湾に到着。ここからは貸切周遊船で約4時間、ハロン湾巡りとなる。
船着場には周遊船が、それこそ束になって集結している。岸には桟橋{さんばし}がないので、岸にアタマをつけた船、そのオシリにアタマをつけた船、そのオシリにアタマをつけた船、・・という、親亀、子亀、孫亀状態を呈している。
写真 船着場(2007年9月30日12時頃、ハロン湾にて)

ハロン湾は、日本で言えば松島のようなところで、湾内には多くの島や岩が点在する。
それにしても、日本三景の松島と世界遺産のハロン湾を連荘{れんちゃん}することになるなんて、何と畏{おそ}れ多い豪華さであるのか。
写真 周遊船の群れ(2007年9月30日12時50分頃、ハロン湾にて)

奇岩を眺め、生簀{いけす}料理をいただき、鍾乳洞を探検し、ハロン湾巡りは目出たく終章に向かう。我らが周遊船、バンロン(縞龍)号にも感謝である。
写真 周遊船の群れとバンロン号(2007年9月30日15時50分頃、ハロン湾にて)

ハロン湾からの帰り、オミヤを買うために、近場の小さな市場に寄る。 道路と線路が並行し、それらを挟んで店が数軒ある。
線路では鶏が地面をつつき、子供が遊ぶ。異国なのに、どこか懐かしい、夏の終わりの長閑{のどか}な夕暮れである。
写真 ベトナム国鉄ハロン線の線路(2007年9月30日16時40分頃、ハロン駅付近にて)

【初利用駅】なし
【初乗り】なし
【完乗】なし


追記

ハロン湾の周遊船は、龍に因{ちな}んだ名前が多い。 それもそのはず、ハロンのハは下、ロンは龍、つまり下龍だから。
対して、昇龍はタンロン。そして、ハノイの古{いにしえ}の名が、じつはそれなのだった。 ハノイから昇った龍がハロンに下りた、ということであるらしい。いやー、勉強になりますネ。


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